感想:異世界おじさんⅢ(殆ど死んでいる)
※ネタバレあるかも知れませんのでご注意を。
異世界から現代日本へ帰ってきたおじさんが語る、異世界冒険譚?
残念な冒険、シュールコメディ漫画です。
異世界おじさんⅢ
3巻の表紙は前回ゴブリン退治で出てきたアリシアです。
正統派ヒロンといった感じで可愛いのですけど、ツンデレさんやメイベルちゃんと比べるとちょっとキャラ立ちしていないのが否めなせんが、比較対象がおかしいですね。
日本なら教師にいそうなしっかり者のお姉さんのように思えますが、今まで散々裏切られてきたので、彼女もきっと相当アレな性格をしているのでしょう。
何気にツンデレさんやメイベルちゃんよりも服装の露出が高いんですよね。スカートのスリットはめっちゃ深いし、脇が見えているからノースリーブの上に短いマントを羽織り、アームカバーをしているわけです。着るの大変そうですねぇ。
でも、純情そうなところを見ると自分の趣味でというよりも、友達からグイグイと勧められてこの服装になった背景がありそうです。
1. あらすじ
1ー1 3行あらすじ
精霊と話せるおじさんマジ強くて
ツンデレさんとメイベルちゃんマジ可愛くて
藤宮家はマジヤバい
1ー2 ざつあら(雑なあらすじ)
氷の一族の開祖は日本の武士で凍神剣は彼が転移した際に神からもらった転移特典でした。
おじさんの特典は何なのかと過去に迫ると”翻訳”だったと発覚!精霊と話せるってそういうことだったんだね。
凍結封印後は天国だし、おじさんはモノホンの天国に行けばいいと思ったけど、メイベルちゃんの引きこもり力が高すぎてすべて持っていかれました。
再びアリシアたちと邂逅して、なんだかんだでこの3人とは縁があるなぁと思っていた矢先に藤宮家の闇に触れて、たかふみも闇堕ち!
2. 個人的ハイライト
2-1 おじさん
右も左も分からない土地でいきなりタコ殴りにされようとも、解り合おうとするおじさん。
そう、おじさんは何気に聖人かよって言いたくなるような一面があります。
自分のことを銅貨3枚で買い取って一週間完全に忘れた餓死寸前にまでにしくさった見世物小屋の主人も助けたりと、人ができているというのか、あるいは道徳観がいい方向にどこかぶっ壊れているのでは思ってしまいます。
周囲の人たちが言うことなど知ったことではないとSE●A道を突き進んできたおじさんですが、人間関係はとても大事にするんです。
その人自身が解決しなければならない問題には口を出さず、見ていることしかできないと告げたりと男気もあります。
この辺り、何かエピソードがあるんでしょうかね?
まあ、恋愛ゲームはやってこなかった人ですから、男同士の熱い友情には敏感なのかもしれません。
現実をゲーム感覚で判断しているところがあるので、ぶっ飛び方を間違えると本当に怖い人なんですけどね。
2-2 たかふみ
おじさんから魔法を借りてあんなことこんなことを考えていたたかふみ。
これは闇が深いのか、それとも陰キャ特有の強くなった時の凄まじい妄想力なのか。
普段弱い人が力を持つと調子に乗りやすいのはキャンチョメのそれなのですが、藤宮さんがいればカバさんとなって止めてくれるでしょう。
まあ、たかふみがそうなるとしたら、藤宮さんが理由になりそうですけども。
3巻では、藤宮さんの記憶からちらっと子供の頃のたかふみが出てきますが、この頃のたかふみは状況判断を間違えていても、上級生に3人から藤宮さんを助けようとします。
しかし、今のたかふみは正義という刃で強い自分が弱い相手を叩きたいという願望があからさまに見て取れます。
それに対して、いつの間にか子供の頃のたかふみはいなくなってしまい、藤宮さんが少し不安そうに見ているのですが、たかふみはそれに気付いていません。
今後、たかふみと藤宮さんの関係が進むにあたって、その辺りが切り口となっていきそうですね。
高校時代に一家離散し、色々と拭えない何かがあるのは間違いないのですが、その時に一体なにがあったのか。
その時の事件からたかふみは何を抱えてしまったのか。
たかふみと藤宮さんの展開は、”ただの恋愛”じゃなくて”友情からの恋愛”であるからこその熱い物語になっていきそうですね。
2-3 ツンデレさん
ツンデレさんは本当にタフだなぁと思わされるコマでした。
おじさんから”門前払い”を受けたというのにグイグイといけるこの姿勢。
表情からは不安が見て取れます。
当然ですよね。あの夜、ツンデレさんとしてはそりゃもう一生添い遂げるくらいの覚悟をしたでしょう。
なのに、おじさんに扉を閉められたんです。
ツンデレさんがおじさんを刺しても誰も文句は言わないでしょう。
一生拭いきれないであろう辱めを受ければ不安にもなるものです。それでも、口が悪くともおじさんに迫っていけるのは本当に凄い。
全国の草食系男子を代表して見習いたく思います。
そして、おじさんから”勝手にしろ”と言われた時のツンデレさんの嬉しそうにニヤける顔がなんとも、いい!!
直後にメイベルちゃんがおじさんに絡みついてきて妬いているツンデレさんも、いい!!
さらに、メイベルちゃんにおじさんからもらった指輪を売っぱらうようにガンガン勧めるのも、いい!!!
これだけ乙女回路全開なツンデレさんですが、未だに心を開き切っていない節が見て取れます。
ツンデレさん、おじさん、メイベルちゃんでの朝食にて、なぜツンデレさんは名乗らなかったのか。
ツンデレさんが冒険者をやっているのは古代魔道具の探索と回収とのことで、少しばかりツンデレさんのパーソナルな部分が明らかになりましたが、まだ核心には入れていません。
任務の内容がとても1人でやるようなものとも思えませんし……。
それに、なぜ”エルフの郷里”の外にいるエルフは自分ひとりと言い切れるのか。
この時の冷たい目は何を意味しているのか。
デレッデレのくせになかなか謎が明かされませんが、これこそが今後の展開の鍵となっていくのでしょう。
2-4 メイベルちゃん
労働拒否宣言および氷の一族のやべーところを寝言で放ち、ツンデレさんから起こされてその事実を突きつけられたメイベルちゃん。
涙を流しながら自己暗示をかけるかのように労働を受け入れようとする様は、とても健気で無様です!
日本の社畜魂は400年の間で見事に失われたようですね。
もう完全に初っ端の冷たい雰囲気というか、棘のある鋭い面持ちはどこにもありません。
もはやあれは別の誰かだったとしか思えませんね!
ツンデレさんに養ってもらおうと一瞬でもイヌに成り下がってしまったくらいです。
おまけにあんだけ寝ていたくせに出立は夕方5時からとか、君はもう人間社会でやっていけないよ。
今まで凍神剣頼みでグータラしまくりの生活を送っていましたからね。生活リズムを変えるのが辛いというのはわかりますが、少しは頑張ろうという意志を示しなさい。
出てくる度に自ら尊厳を傷付けていくスタイルは大好きです!
ここまでボロクソに言っておいてなんですが、この子、ポテンシャルが高いのは事実なんですよね。
ヘトヘト状態とはいえ、おじさんを組み伏せたのは事実ですし。
おじさんが攻撃を途中でやめたのも理解したりと、冒険者としてやっていくには一級品の腕があるのでしょう。
また、氷の一族についての語りは氷雪を舞わせ、語り方にも厳かな雰囲気があります。
その姿はとても無職の宿無しとは思えません。
一生懸命練習したとも言っていましたし、やればできる子を地で行く子なんでしょう。
おじさんと同じく何やらかすかわからず、何やらかしても納得できるタイプの人間ですね。
2-5 藤宮さん
おじさん、ツンデさん、メイベルちゃんのパーティー瞬殺解散と夕飯の唐揚げを天秤にした結果、選択をしを誤って後悔する藤宮さんです。この、のびーっとした感じ、大好きです。
今回、藤宮さんの大学生活がちらっと垣間見えました。
藤宮さんの高校からの友達、沢江さんが出てきて、藤宮さんを狙っている野郎どもが結構いるとかなんとか。
藤宮さん、過去に目を瞑ればめっちゃ可愛いですからね。
幼い頃は腕白小僧なんて可愛い表現を用いたら、男子を持つ全国のママさんから訴訟を起こされかねないほどの子供です。
というかね、上級生の男子に張り手されてもびくともしないどころか、張り手した側が手首痛めるほどのボディして幼い女の子ってなに?
すべてのロリコンの幻想をぶち殺すような小学生ですよ。いや、ぶち殺した方が世のためな気もしますがね。
なんなら、小学低学年時代はたかふみの方がヒロイン力ありますから。
それにしても、たかふみが現れた途端にか弱さを演出するとは、藤宮さんの恋心は結構長いんですねぇ。
たかふみを異性として意識し始めたのはてっきり中学時代からかと思いましたよ。
そして、驚愕すべきはあの姉にしてこの弟あり!
下に育ち盛りがいるとは言ってましたが千秋くん、育ちすぎぃ!! それも最悪な方向に!
つーか、こんな小4がいてたまるか! 10歳かそこらって面構えじゃねぇだろ!?
どう見ても職質経験済みにしか見えねぇ!! 小4で職質受けたことがある人は是非教えてもらいたい!!
藤宮家はあれか!? 小3辺りで整形手術およびロボトミー手術を施されているのか!?
年齢二桁に達したら、大人の仲間入りとして改造手術を施術させるのか!?
ごほん。
口が悪くなってきたので、藤宮さんの”今”の話に戻しますが、正直、たかふみと藤宮さんって友情方面では相性良くても、異性としてはそこまででもないのかなぁと思っていました。
理由は藤宮さんがたかふみのことをあまり”知らない”ように見えたので。
女の子としてたかふみに意識してもらいたい、という気持ちが先に出すぎていて、たかふみがどういう人間なのか、いまいち見えていないのではないか?と思えてて。
もしかしたら、藤宮さんはたかふみに失望する日が来るのではないかなぁと不安に思いましたが、たかふみのことをちゃんと窘めていたりしているので安心しましたよ。
まあ、たかふみが誰かに取られることはないでしょうが、長年の恋心です。
ちゃんと成就させて欲しいですね。
2-6 アリシア
2巻どころか1巻から既に出ていたアリシアです。
ツンデレさんやメイベルちゃんと解散した後、おじさんは伝説の勇者を見物したいと探していましたが、ここでまさかまさかのアリシアが伝説の勇者だったとは!
おじさんはそんな伝説の勇者を通算で3回も返り討ちにしているわけですが、正直、アリシアたちよりツンデレさん1人の方が全然強そうに見えます。(おじさんは”翻訳”があるため規格外なので)
伝説の勇者については考察で述べるとして、ここではアリシアパーティーについてちょっと考えます。
2巻にて、情報とは違うとはいえ、ゴブリンの大群の退治を任されたメンバーです。それなりに腕が立つのでしょう。
この3人はどういう関係なのか?
おじさん、ツンデレさん、メイベルちゃんのような会ってからまだ日が浅いようには思えません。
オーク誤解でおじさんを3回も襲撃しているところから見て、普段からこの3人で組んでいるのが伺えます。
アリシアとライガのやり取りや、アリシアがエドガーから剣を借りるところを見ても、とても仲睦まじく見えますし。
状況から判断するに、断定情報としては「この3人は普段からパーティーを組んでいる」、「3人とも、冒険者稼業をしている」の2点くらいでしょう。
年齢はわかりませんが、全員20歳前後といったところでしょうか。
となると、3人は幼い頃からの知り合い、あるいは冒険仲間で非常に連携が組みやすいか。
2巻にて、ゴブリンを退治の報酬を話した際、おじさんの嫌味(おじさん自身にそんなつもりは微塵もない)をこの3人は笑い飛ばした辺り、結構な熟練者と思うんですよね。
冒険者として経験を積んできたからこそ、嫌味を言える人に対してむしろ好感を持てるといいますか。
そうなると、場数を踏んできた冒険者仲間といったところでしょうか?
おじさんとは積極的に関わらないかもしれませんが、注目の人物ですね。
2-7 21時入眠的に愛してやまないコマ
いや、おじさんには悪いのですがこのコマ、ジワジワくるんですよ!
何だこの妙な疾走感は、と。
あと、顔は多分使い回しなんでしょうけど、それも相まって絶妙なバランス感とアンバランス感で込み上げてくる笑いがあります。
いや、それにしてもおじさんの異世界生活、最初の頃は本当にろくでもない目に遭っていたんですね。
1巻の時に粗方わかっていたつもりなんですが、こう丁寧に見せられるとたかふにや藤宮さんのように”改めて重い”という感想しか出てきませんわ……。
3. おまけをちらっと紹介
ゴブリンに捕まったツンデレさんとメイベルちゃん。
ガタゴトガタゴトと貨物車で運ばれていると、おじさんが助けに来ます。
ツンデレさんは自力で手錠を破壊してあっさりと自由の身ですが、メイベルちゃんはそうもいかず、おじさんが手錠を外そうとするもなかなか上手くいかずメイベルちゃんが痛みで声を上げますが、、、
これ絶対誘ってるよね!?
これで誘ってないとか無理があるわ!!
あ、でもメイベルちゃんはオーク強制睡眠婚したわけだし、それはつまり夫婦の契りを結んだと言っても過言ではないわけだ。
そう!
これは合意です!!
4. ちょこっと考察と総括を
伝説の勇者について、考察をしてきたいと思います。
まず、前提条件。
ツンデレさん曰く、
1.ここ50年は空席だった。
2.魔物の大群を退けた
3.2の功績で勇者の称号を得た
4.現在、アリシアが伝説の勇者
「3」の勇者の称号を得たということは、勇者はあくまでも称号であって、1人とは限らないと思ったのですが、「1」より長らく空席らしいので、基本的には勇者の称号は存命しているただ1人が得られるみたいですね。
で、それが現在はアリシアだと。
そして、アリシアは「2」の功績があるわけですが、魔物の大群を退けたっておじさんが色々とバカやってたゴブリンの軍勢ですかね?
あるいは、おじさんから記憶を消された後にそういう依頼を受けたのか?
しかし、魔物の軍勢なんて情報があればおじさんやツンデレさんが駆けつけそうなものですけど。
ならば、おじさんと出会う前に退けたのか?
もしそうならば、ゴブリン退治の時には既に勇者の座についているはず。
50年、空席だったというツンデレさんの情報が古かったということになりますが、果たして?
もし仮に、ゴブリン退治によって得た称号ならば、本来倒したのはおじさんなのでこの3人としては倒した記憶もないけど自分たちが倒したとしか思えない状況ということで、困惑しながら勇者の称号を受けたことになりますね。
漫画の展開的に、その可能性が一番高いですが。
おじさんがやらかした結果をアリシアたちが引き継がされたって感じになりそうですね。
しかし、そうなるとやはりアリシアたちは熟練の冒険者なんでしょうかね。
流石にペーペーに勇者の称号を与えるのは……いや、実績がないというのは実力が未知とも取れますね。
ふーむ。
アリシアたちが何者なのは次巻にてわかるでしょうけど、そもそも”伝説の勇者”とはなんなのか?
称号は誰が与えているのか?
もしかしたら、かつての伝説の勇者も氷の一族のように日本人だったのかもしれません。
どうやら転移特典があるようですし、転移者ならば初代(?)伝説の勇者も氷の一族の開祖やおじさんのようなチート性能を持っていたはずですし。
もし、そうであれば50年ごとに日本から転移者が送られている?
そんなところで、考察は終えようと思います。
3巻はおじさんとツンデレさんのイチャイチャ成分や、転移者の特典や、メイベルちゃんのダメさっぷりや、藤宮家の劇的ビフォーアフターという闇とか、たかふみの性格の陰とか、アリシアの勇者発言など色々と情報の濃密な巻でしたね。
次巻ではメイベルちゃんがちゃんと働けるのか、アリシアたちが何者なのかが明かされると嬉しいですが、この漫画はなかなか思うように展開してくれませんからね。
いつも予想の斜め上をいきます。
個人的にはそろそろツンデレさんの過去が知りたかったのですが、この幕引きではそれもまた先になりそうです。
ではでは~。
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