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感想:マンガおはなし数学史(著:仲田紀夫)を読んだよ

最近、統計学を勉強している僕ですが、
『これはアカン。数学を勉強し直さなければ』
と、統計学の前に数学を総復習しています。

 

で。

 

学生の頃と違って、学びにも『余裕』が出てくるんですよね。

まあ、受験勉強と違ってリミットがないから、というのが大きいでしょうね。
他人と競うわけでもないので、伸び伸びと勉強しております。

 

そうすると、
『数字って、どういう経緯で出来たんだろう?』
『1次関数って、歴史上のどこで役に立ったんだろう?』
なんて、『余計なこと』を考えてしまったりします。

 

そこで、
いい感じにざっくりとしていて、
わかりやすい数学史の本を探したら、
出会ったのが本書『マンガおはなし数学史』です。

 

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古代から近代まで、
数学単元ごとにその歴史をマンガでまとめてあります。

年表順ではないので、
そこが少し混乱しやすいところではありますね。

 

2000年12月に刊行されたものですが、
非常に読みやすい良書だと思います。

本書の中で個人的に面白かった数学史を3つ、
記事にしてざっくりとご紹介しようかと思います。

 

 

☑ エピソード1:『なぜ?』はあとから出てきた

古代エジプトではナイル川の氾濫などにより、畑の区画整理などがよくに行われていたそうな。

そうなると、測量技術が磨かれていきます。

 

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出典:著_仲田紀夫、佐々木ケン_『マンガおはなし数学史 これなら読める!これならわかる!』_(2012年10月1日)_㈱講談社 

 

古代ギリシアの学問にて有名なターレスは、エジプトで高度な測量技術を学びました。

 

んで、その技術を応用した『相似な三角形の辺の比が等しい』ことから、ピラミッドの高さを導いたとか。

 

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出典:著_仲田紀夫、佐々木ケン_『マンガおはなし数学史 これなら読める!これならわかる!』_(2012年10月1日)_㈱講談社

 

 このときターレスはなんと、『相似条件』がわかっていなかったそうです。
求められる結果を導く『論理』がわからなかったのですね。

 

さて。
古代ギリシアではアリストテレスを始め、ピタゴラスターレスなど数学というか学問で名を残した人が数多くいます。

 

ここで疑問が。

 

先述した通り、エジプトでは測量技術が発達していました。

 

それを学びにギリシアくんだりでターレスはエジプトに来たわけですが、
ターレスは測量の理屈、すなわち『論理』がわかっていません。

それはエジプト人もです。

 

んじゃ、なんでターレスは後に『円周角の定理』などの証明をしたのに、
エジプト人はしなかったのか?

 

すなわち、論理性をターレスは考え、エジプト人は考えなかったのか?

 

答えはギリシアが平和で暇だったから
実際にこう書いてあるわけではありませんが、ほぼほぼそんなところです。

 

まず、当時のギリシアでは民主制であり、物事を決めるのに人々を納得させる必要があります。

討論や議論が行われるので、聞く人を納得させるための論理性が必要となるわけですね。

 

しかし、エジプトでは君主制なので上からノルマが下されます。

 

で、実際に測量を行う人達はそのノルマがクリアできればいいのです。
そうなると、高度な論理なんて考えたりしません。

 

また、ほぼ同時代の中国では論理が必要でした。

なぜか?

当時の中国はまさに戦乱の世であり、群雄割拠のご時世です。

 

となると、賢人は皇帝に自分の説が以下に優れているのかをアピール、
すなわち皇帝に納得させるための論理性が必要になるわけです。

 

ですが、中国では数学が発達しませんでした。

 

これは先述した戦乱が原因です。

覇を争いの世界において、数学などの学問をやっている余裕なんてなかったわけです。

 


何とも皮肉な話だなぁと思います。

 

当時は役に立つ知識や技術というのは今やすっかり途絶えましたが、
役に立たなかった学問がこの現代まで連綿と残っているわけです。

 

戦争は技術を発展させるなんて言いますが、
平和は知性を発展させるんですねぇ。

 

 

☑ エピソード2:大砲から関数は誕生した

何ともびっくりなことに14世紀頃まで

『発射された物体は推進力を失うまで高度を上げ、推進力を失うと垂直に落下する』

と考えられていたとか。

 

真上に上げればそうなりますが、斜め上に発射してもそうなると思われていたみたいで。

つまりは、放物線を描いて飛ぶという考えがなかったんです。

 

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出典:著_仲田紀夫、佐々木ケン_『マンガおはなし数学史 これなら読める!これならわかる!』_(2012年10月1日)_㈱講談社 

 

これは、アリストテレスが提唱したものが残り続けたみたいです。

紀元前に言われた誤りが1世紀を超越して信じられ続けたとは驚きです。

 

さて、なんだってそんな物体の推進力なんてのを考えるようになったのかというと、
戦争であり、大砲の時代になるわけですよ。

 

火薬も弾も無限ではありません。
やたらぶっ放し続けられるわけではないのです。

 

そうなると、いかに大砲の命中率を上げられるかが重要になります。

 

そこで、弾道研究がなされるようになり、
その研究からグラフが出来上がるわけです。

このグラフ化をしたのがデカルトとなります。

 

そして、グラフ化をすることで図形と方程式が結びつくわけですね。

 

この結びつきから、関数も生まれます。

関数ができると、今度は角度を利用して敵との距離を三角関数で求められます。

大砲の命中精度がどんどん上がっていくわけです。

 

角度一つで距離がわかるとか、やっぱり数学は凄いんですねぇ。

 


☑ エピソード3:暇なヨーロッパの医者とアラビア人の気質

紀元前後の話です。

古代ギリシアを始め、ローマ帝国などその頃のヨーロッパの知識は他を圧倒していました。

で、今度はアラビア人がヨーロッパから学問を逆輸入します。

 

ターレスがエジプトから学び醸成させ、今度は発祥の地であるアラビア人たちが学ぶ。

これも歴史の繰り返しの一つといえますかね。

 

さて。
7世紀頃ですが、アラビアではマホメットが大帝国を造ります。

 

すると、砂漠で遊牧していた人たちがその帝国へと定住するようになったとか。

 

ですが、季節の変わり目は体調を崩しやすいように、
砂漠→大都市ともなると環境の大きな変化で病気になる人が多発。

 

そこで、ギリシアやローマから医者をアラビアへと招いたんですね。

 

ですが、病気は元々が環境の変化から来るものなので、慣れてしまえば患者は減ります。

 

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出典:著_仲田紀夫、佐々木ケン_『マンガおはなし数学史 これなら読める!これならわかる!』_(2012年10月1日)_㈱講談社 

 

そうなると、暇なヨーロッパの医者がアラビアにない知識、
すなわち『幾何学なんてどう? 役に立たんけど』となり、
アラビア人は『役に立たない? 面白そう!』と幾何学を教わったそうな。

 

でもって、アラビア人は更にインド数学も学んだりして行き、
計算技法を取り入れていったそうです。


役に立たないのが面白そうって、現代の日本ではあまり見られないことですね。

ですが、個人的には学問って『考えるための技法』のようなものだと思います。

 

役に立つ、役に立たないとは切り離すべきであり、
アラビア人のように『面白そう!』というところから入るのが一番いいのではないでしょうかね。

 


☑ おまけ:わからない問題は飛ばしなさい(物理)

エピソード1で古代ギリシアでは論理が学問として誕生したことに触れました。

で。
ツェノンという学者が『パラドクス』について考えるんですよね。
そのうちの1つに有名な『アキレスと亀』があります。

 

 

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出典:著_仲田紀夫、佐々木ケン_『マンガおはなし数学史 これなら読める!これならわかる!』_(2012年10月1日)_㈱講談社 

 
頭が三角形になりそうな問ですね。

 

実際にやったら亀なんてあっという間に追い越せるわけですが、

論理的構造の矛盾を指摘せよ、と言われると「うーん?」となります。

 

古代ギリシアにて、この問を鮮やかに解決してみせたのがプラトンです。

 

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出典:著_仲田紀夫、佐々木ケン_『マンガおはなし数学史 これなら読める!これならわかる!』_(2012年10月1日)_㈱講談社

 
いや、それでいいんかーい!!

と、ツッコミを入れながらにしても、思うのです。

 

まあ、ありだな、と。

 

僕ら人間は決して全知全能ではありません。

自分たちがいかに絶えず努力しようとも、追いつけない問題というのはいくらでもあります。

 

そこで考えなければなりません。

果たして自分たちはその問題を正しく取り扱えるのか?と。

 

プラトンの時代ではまだまだ学問の黎明期。

自分たちの無知を知り、後世に託すというのはヒトの特権です。

 

後世に託す、というのは一種の怠慢のように聞こえますが、
今の自分たちの知識で取り扱える範囲を盤石に固めるのは決して用意ではありません。

 

正しく取り扱えないのにフラフラと考えを巡らせ何も成せないよりも、
ずっと建設的で勇気のいる行動ではないでしょうか。

 

 

☑ 本書はどんな人にオススメ?

やはり、一通り高校までの数学を勉強をし終えた
社会人におすすめかなぁと。

一通り学んだがゆえに、
俯瞰して数学というものを捉えるのによい本かと。

 

数学が苦手な学生の助けになるかと言われれば、特にならないと思います。

学問ではなく、教養の本です。

 

ただ、本の学校で学ぶ歴史とは日本史も世界史も、『国の歴史』であり、
文化と戦争の歴史といえます。

そういう歴史の中でも数学や科学が進歩してきました。

 

『歴史の側面』
歴史を別角度から見る、という観点で学生にも読んでもらいたいと一冊です。 


☑ 総括

読み終わって思ったことは、数学って人間臭いなーでした。

役に立たないのを面白がったり(幾何学)、
平和だったから論理が発展していき(古代ギリシア)、
必要故に技術を洗練する術を求め(大砲や計算)、
娯楽であれど本気となれば学問にまで昇華させる(確率やトポロジー)。

 

一番の収穫は、たまに見る
ユークリッド幾何学』と『非ユークリッド幾何学』って何なんだよ?
という疑問が、よくわかったことでしょうかね。

 

他にも面白いエピソードはたくさんあります。
いい感じに雑学力が身に付くので、ご一読してみてはどうでしょう。

 

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感想:漫画版!電波的な彼女が発売されていた!!

なんとなく本屋さんへ行ったら、マジでたまたま目に飛び込んできた背表紙のタイトルに驚きましたよ。

 

電波的な彼女1』
電波的な彼女2』

 

え・・・まじで?

いやいや、まさかね。

 

だって、電波的な彼女って、あれだよ?
結構前のラノベだよ?

 

昨今のラノベといったら萌えとエロをめっちゃ前に出してくるものばっかじゃん。

つまり、そういうのが売れ線ってやつなんでしょう?

 

それなのに、

いまさら電波的な彼女の漫画版って、何かの間違いでしょう?

と思い、表紙を見ると、

 

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【原作】片山憲太郎
【キャラクター原案】山本ヤマト

 

マジかよ!!??

 

確認するなり、本屋にてかなりテンションがおかしくなった僕でした。

そして、表紙のジュウ、お前はいったい何を考えたらそういう表情になるんだ!?!?

 

僕は『電波的な彼女』がめっちゃ好きなんですよ!

 

結構前のラノベなので、読んだことない、知らないという人も多いでしょうが、ブログでオススメしたくらいには好きなんですよ!

 

小説ならではの残酷な物語、残虐な描写、陰惨たる葛藤を、とても鮮烈ながらにしてコミカルを取り入れたこの物語にめっちゃハマりました。
(今でも続刊を待望しておりますよ、片山先生!!)

 

いつの間に発売されたのか確認してみると、
2021年1月19日

 

マジで最近だなおい!!(2021年2月現在)

 

てなわけで、

これはもう色々と面白そうなので読むっきゃない!!

 

 

 

 
☑そもそも『電波的な彼女』とは?

 集英社スーパーダッシュ文庫(2021年現在はダッシュエックス文庫)にて、

第3回新人賞佳作を受賞した作品です。
(受賞時の作品名は『電波日和』)

 

著者・片山憲太郎、イラスト・山本ヤマトによるライトノベルで、
初版は2004年9月22日に発売。

 

OVAとしてアニメ化もされていて、
OVA1が『電波的な彼女
OVA2が『電波的な彼女 ~幸福ゲーム~』
の内容となっています。

 

漫画版はどうやらウルトラジャンプにて掲載されていたようですね。

 


☑どんな内容なの? 

以前、ブログの記事にもしましたが、

サイコサスペンスに分類されます。

 

世界観は2000年当時の日本。

金髪長身、売られた喧嘩は必ず買う中途半端な不良高校生・柔沢ジュウと、
同じ高校に通い、一方的にジュウへと忠誠を誓う陰気な優等生・堕花雨。

 

雨の奇行な言動に振り回されたり、付きまとわれたりで辟易したジュウは
彼女を引き剥がす策を練り実行するも、非道徳的なやり方から自らご破算に。

 

雨に対して負い目ができたジュウは彼女が側にいることを許可します。

 

その後、巷を騒がせる
連続通り魔殺人事件(無印)
抉り魔事件(愚か者の選択)
幸せ潰し(幸福ゲーム)

といった、歪な使命や正義から生まれる不快な事件を解決していく物語です。

 

本当にね。
読んでいて嫌な気持ちになるんですよ。

 

でも、

そんな時にこそ、
電波少女である雨の言葉が、考えが、
とても愛おしくて、尊いものに思えるんです。

 

幸福は禍中でこそ見つけられる、とでもいいましょうか。
あるいは毒をもって毒を制すというか。

 

なんにしても、ジュウが中途半端な不良というのが、
この話の根幹と言えるのではないでしょうか。

 

 

☑で、漫画版『電波的な彼女』は感想は? 

以下ネタバレがあります。

 

内容は1,2巻で無印を全編描いたもの

となっていました。

 

原作の改変はほぼありません。

目立つのはジュウの髪の色と、
藤嶋とジュウのやり取りのシーンくらいでしょうかね。

 

原作ファンの人でも安心して読めますが、

削ってある部分はありますので、そこが残念に思える人もいるかと。

 

絵柄は少し山本ヤマト先生の絵に比べると
”大人びた感じだな”って印象を受けますが、
おおよそ原案のイラストに沿ったものと思います。

実際のコマをちょっとだけ。

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引用元:電波的な彼女1巻

原作:片山憲太郎 漫画:平岡滉史 コンテ構成:降矢大輔 

キャラクター原案:山本ヤマト

発行所:集英社 発売日:2021年1月19日

山本ヤマト先生のイラストに比べると、雨は身体が結構しっかりした感じですね。

 

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引用元:電波的な彼女2巻

原作:片山憲太郎 漫画:平岡滉史 コンテ構成:降矢大輔 

キャラクター原案:山本ヤマト

発行所:集英社 発売日:2021年1月19日

 ジュウの方はやや幼なく見えます。

 

また、ジュウが事件解決を目指すきっかけとなった藤嶋の死ですが、
結構エグい感じで描いてあります。

 

ぼかしとかは全然なく、

思いっきり顔面を描いてあります。
(藤嶋は殴打による撲殺)

 

グロテスクなのが苦手な方には

オススメできません。

 


さて。

個人的には、
できれば3巻くらいにして、もっとゆとりのある感じにして欲しかった。

 

この物語はやっぱり動機とか、背景がとても重要なので、
最後のジュウと美夜のやりとりをもっとガッツリと描写して頂きたかった。

 

あとは、コマの割り方?というか、
絵の視点が結構コロコロと変わるので、ちょっと疲れました。

 

まあ、そのくらいです。

 

個人的には切に続刊希望なのですが、
難しいでしょうねぇ。
既に2巻(完)となっていましたし。
(特にOVAでもNGとなった『愚か者の選択』は)

 

 

☑まとめるとなに?

 

まさかの00年代に発売された
サイコサスペンス小説『電波的な彼女』(著者・片山憲太郎)の
漫画版が2021年に漫画版となって発売されました。

(小説はダッシュエックス文庫、漫画はウルトラジャンプにて)

 

漫画版『電波的な彼女』は2巻までであり、
内容は小説版の無印までです。

 

漫画版は原作をほぼ改変しておらず、
日常編を少し削ってありますが、概ね原作通りです。

 

原作が好きな方でも安心して読めます。

 

ただし、ガッツリとグロテスクな描写があるので、
苦手な方はご注意を。


興味が出たら是非お手にとってみてください。

 

ではでは~。

 

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漫画版

電波的な彼女 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

電波的な彼女 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

原作

電波的な彼女 (集英社スーパーダッシュ文庫)

電波的な彼女 ~幸福ゲーム~ (集英社スーパーダッシュ文庫)

電波的な彼女 ~愚か者の選択~ (集英社スーパーダッシュ文庫)

 

 

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おすすめしたラノベの過去記事

slow-life-world.hatenablog.com

 

 

 

オススメ:ペーパーライクフィルムってなかなか良いじゃん!!

僕はデジタル端末を「WindowsーPC」、「Andoroidタブレット」、「Androidスマホ」の3種を主に使っています。

 

少し前にAndroidタブレット(10インチ)を買い替えたので、”さてフィルムも選ぶか”と思った矢先、
”そういえ、前に調べた時にペーパーライクフィルムってのがあったなぁ”と思い出しまして。

 

2000円くらいと、他のブルーライトカットフィルムなどと値段が変わらないので、これを機にお試しで使ってみました。

 

これが、意外や意外。

いいじゃんっ!

 

せっかくなので、ちょっとブログ記事にしようかと。

 

 

☑ ペーパーライクフィルムって?

PCやタブレットのディスプレイに貼り付けるフィルムであり、
よくあるフィルムと違って”ザラザラ感”が非常に強いフィルムのことです。

昨今、タブレットは言わずもがなで、PCもタッチパネルが標準搭載と言える時代。
スタイラスペン(あるいはタッチペン)でノートを書いたり、論文にハイライトを引いたり、イラストを描いたりと、デジタルとアナログの境界線は少しずつですが、確実に埋まってきています。

で。

PCやタブレットで文字を書いたり絵を描いたりすると、やっぱり紙とは違うなぁと思う人が結構いたわけです。

特に書き心地は摩擦が重要となり、紙特有の”ザラザラ”とした質感が非常に大事でして。

 

通常のフィルムは摩擦の弱い”ツルツル”とした触感ですが、
ペーパーライクフィルムは摩擦の強い”ザラザラ”とした触感にすることで、
スタイラスペンを使いやすくしたものとなります。

 


☑ タブレットはどんな風に使用しているのか?

散々書き心地の話をしておいてなんですが、
私はタブレットで動画見たり、本を読んだりするのがメインです。

キーボード接続などもせず、タッチ操作をしまくりです。
携帯もしていませんし、家用のスマホって感じで使っています。

 


☑ 何でオススメなん?

意外なことに、ブラウジングなどの行為とペーパーライクフィルムとの相性がいいんですよ。

正確にいえば、目の疲労度が明らかに下がりました。
おまけに、指紋も目立たないんですよね。

 

そして、動画を見るなりすぐに違いがわかります。

「あれ? なんかいつもよりも見やすい。
というか、ストレスが小さい?」と。

 

今まで使用してきたフィルムと違って反射も大幅に軽減し、
何よりバックライトの明るさが、同じ光量なのに柔かく感じるんですよ。

 

ディスプレイ特有の綺麗な明瞭度は損なわれますが、
見続けるストレスは大分小さくなりました。

 

それと、特有のザラザラした質感ですが、
摩擦が大きいがゆえに、ハイライトが引きやすい。

 

つまり、ノートを取ったりイラストを描いたりなどの能動的行為だけじゃなく、
動画や読書、ブラウジングなどの長時間見るような受動的行為に対しても、
ペーパーライクフィルムはオススメというわけです。

 


☑ 最後に、買ったフィルムをご紹介

PCやタブレットの「端末名」と「ペーパーライクフィルム」で検索すると、
目的の機種に適したフィルムが出てきますので、興味の出た方は是非一度お試しあれ。

 

Excel:できたぁぁぁー!! 関数での配列自動変換!

エクセル初級者の当方でございますが、やっと、やーっと、配列の自動変換ができました!!

いやー、めんどかったーーー!!!

仕事としては、ITスキルはそこまで求められないのですが、
色々と小難しい計算とかをするのでExcelのスキルは必須となっております。

しかも、色々と臨機応変に対応しなければならず、
可能であれば最小限の入力で、いっぺんに済ませたいもの!

今回やったのは、
「元の表」から「実際に使うテンプレ」へのセルの参照です。

実感しましたよ。
配列を作るのって、本当に面倒なんですね……。

備忘録を兼ねて、ブログ記事にしちゃいます!

 

 


☑ そもそも何がしたかったのか?

「元の表から任意の項目」を抜き出して、現場で使う記録用の表を作りたかったんですよ。

 

記録用の表は印刷するので、必要最低限の情報を抽出しないとプリントアウトした時に
虫眼鏡が必要になってしまいます。

 

んで。
その必要最低限の項目とやらが厄介でして、
項目の内容が、増えたり変わったりするんです。

8割はいつも通りなのですが、残りの2割がめんどくさい。

2割といえば、5回に1回ですからね。
その度に適宜修正するのは面倒です。

 

なので、
元の表から項目名だけを、記録用の表へコピペすれば自動でセル参照される、
というのを作りたかったんです。

となれば、XLOOKUP関数のご登場というわけです。

※ちなみに、諸事情からスピルや表のテーブル化ができないので、
それ用に関数を組みました。

 


☑ 使用した関数と、その目的

・XLOOKUP(検索値、検索範囲、戻り値、見つからなかった場合)
  検索して、検索した値から”何を返すのか”をやってくれる関数

・MATCH(検索値、検索範囲、一致条件)
  検索して、検索範囲の”相対的な位置番号を返す”関数
  ただし、返すのは1次元となるので注意(要は上から何番目、または左から何番目のどっちか)
  項目名を判定させ、該当する項目の列番号(横軸の番号)を返させる

・ROW関数(参照セル)
  参照セルの行番号を返す(要は、参照セルの縦軸の番号を返す)
  戻り値の行番号を返させる

・ADDRESS(行番号、列番号、参照の仕方)
  入力された行・列番号から、該当するセル番号を返す
  戻り値の範囲となる、セル番号を返させる

・CONCATENATE(結合対象文字)
  関数内の情報を結合して、文字列として出力する
  戻り値の範囲を作成させる

・INDIRECT(参照文字列)
  関数内の情報を結合してセル番号として認識し、該当するセルの情報を出力する
  CONCATENATEで結合した文字列状態の配列を、数式状態にする

関数の説明は細かいところが抜けていたり違っていたりしますが、
記事の趣旨じゃないので気にせんで下さい。

 


☑ 実際に組んだ関数はどんな感じ?

動画を載せられればいいのですが、
私のブログ技量やコンテンツ編集がクソ雑魚なため、画像で勘弁して下さい。

 

まず、表の全体像はこんな感じです。

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で、関数は。

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=XLOOKUP($J4:$J8,$B$4:$B$13,INDIRECT(CONCATENATE(ADDRESS(ROW($B$4),MATCH(K$3,$B$3:$H$3,0)+1,4),":",ADDRESS(ROW($B$13),MATCH(K$3,$B$3:$H$3,0)+1,4))),"ありません")

 

わかりやすく区切ると、

=XLOOKUP(
検索値
【$I4:$I8】

検索範囲
【$A$4:$A$13】

戻り値【INDIRECT(CONCATENATE(ADDRESS(ROW($B$4),MATCH(K$3,$B$3:$H$3,0)+1,4),":",ADDRESS(ROW($B$13),MATCH(K$3,$B$3:$H$3,0)+1,4)))】

見つからなかった場合
【"ありません"】

 

MATCH関数のすぐ後ろに「+1」があるのは、
検索範囲である項目欄ですが、【B3:H3】となっているため、
ADDRESS関数で取得する番号が1つ右にずれるためです。

検索範囲をA3セルまで含まれば「+1」は不要です。 

 

MATCH関数が「文字列」検索をして、「数字」を返すという
特性を持っているのがポイントになりますね。

 

※XLOOKUPの検索値を範囲にしているので、下のセルはゴーストとなっていますが、
実物はセルの結合などが必要だったのでスピルとわけわからん状態となり、
一つ一つ入力する羽目となりました。

 

 

☑ 最後に、組んでみた感想を

Excelの関数を組むことはそこそこあるのですが(特にIF関数)、関数で配列を組むというのは初めての試みでして。

 

まあ、めっちゃ大変でした。

 

最初はMATCH関数が”判定”の機能を持っていることを忘れていたので、
わざわざIF関数で無駄に判定させたりもしていましたし。

 

あと、知識としてADDRESS関数やMATCH関数の存在は知っていましたが、
どちらも”あんま使いどころねぇなぁ”とか思っていましたよ。

 

特にADDRESS関数なんて、”なんでこれ数字入力?”とか思っていましたが、
配列を組むのにはめちゃくちゃ重宝しますね、これ。

 

本来?というか、表をテーブルにできればXLOOKUP関数だけで簡単にできるのですが、
そうはいかないこともあるのが世の常といいますか。

 

他にもこんな感じのマイナー情報を発信できたらいいなと思っております。

 

ではでは~。

 

ダイエット:半年間で約7kg減った

2020年5月に健康診断を受けたんですが、日頃の食生活と運動不足も相まってか、

なんと総合判定_D2!!

 

ぐ、はっ!!

 

体重_67.3kg
腹囲_91.0cm

 

そして何より、肝機能が悪い!!

 

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2020年5月の健康診断の肝・胆と脂質の検査結果

 

わぁーお、見事な肥満。

 

普段、飲酒をしていないのに、なぜ!?
(ついでに運動もしていないけれど)

 

ということで、
エコーを撮ってみると「脂肪肝だね」と言われてしまいました.........。


・・・・・・脂肪肝て。


そんな贅沢病に罹るとは!!!(怒)

 

要は食い過ぎの動かな過ぎなわけですから、これは改善しなくては!!

 

いや、運動不足なのはわかっていました。

そして、日頃食べ過ぎなのも。

 

言い訳になるんですけどね、
実家に帰ったりすると「食え食え」と言われるんですよ。

 

んで。

僕は25歳頃に食べ過ぎで熱を出したこともあって、なるべく食事量を増やしていたんですよ。(割とガチ凹みしました)

 

でも、その結果、脂肪肝て。


てなわけで、

ダイエット&運動不足解消をすべく、縄跳びを始めました!

 

 

 


1.なんで縄跳び?

 

最初はやっぱりジョギングかなと思ったんですが、ジョギングって嫌いなんですよね。

何回かやっても続かなくて。

 

んで、他に1人でもできる運動といったら何かなぁと考えたところ、
縄跳びに行き着きました。

 

縄さえあればできて、ジョギングのように広さを必要としない。

 

遠出するのが嫌いなわけではないのですが、”自分の好きなタイミングで切り上げられない”のが好きになれないのではないかと思います。

 

例えば、街中を走っていて「そろそろ帰りたい」と思ってもすぐに家に着くわけじゃないので。

また、街中を走るのって結構注意しなければいけないので、そういうのが面倒という気持ちもありますね。


あと、縄跳びは”回数”という目標が立てやすいところが良かった。

 

ジョギングは”距離(=走っている時間)”が目標となりますが、結構曖昧というか、成長を感じにくいんですよね。

それに、時間だけじゃなく”速さ”によっても運動レベルが変わってきますし。

 

まあ、そんなわけで5月末頃から、
縄跳びを1日30分(縄跳び_10分 → 休憩_1分を3セット)を、
週に5日間ほどやり始めました。

 


2.5~6月は脚がしんどい…。

 

初日から前跳びを連続で100回跳べたのは嬉しかったのですが、
2重飛びは3回位しかできず、結構凹みましたねー。

 

そして、初めて1,2ヶ月は、何というか、体力的にしんどくはないのですが、
ふくらはぎがめっちゃ痛かったです。

(ストレッチとかすればいいのに、面倒でやっていなかったのが大きいと思いますが)

50枚くらい入った湿布を買って、ふくらはぎに貼りまくっていましたよ。

 

ちなみに6月が終わる頃、体重は約1kg減でした。

 

この頃は雨で、できない日も多々あり、正直そんなに期待していなかったのですが、
結構ガッツリと減ってくれましたね。

 


3.7~9月、2重跳びに変化が現れる

 

この頃も、相変わらず脚が痛かったのですが、湿布を貼るほどではなくなりました。

 

そして。

目標に2重跳びの連続回数の日々増進を設定していたのですが、
6月は20回ができるかできないかのボーダーラインだったのに、
7月の中旬あたりから30回くらいまでできるようになりまして。

 

8月に入るとだいたい40回跳べるようになりました。

 

60回跳べた時は結構感動でしたね。

というのも、50回の壁が本当に分厚くて。

 

この頃になると、30回跳ぶのは割と簡単で、40~49回は3日に1回くらいといった感じです。

 

ちなみに、9月の末頃に脂肪肝が改善されているのか再びエコー検査を行いました。

 

結果、

変化なし。

 

マジかよ・・・。
脂肪肝って、一度なるとなかなか無くならないのね。

 


4.11月になって、再度健診を受けた結果

 

さて。
いよいよ審判のとき。

 

僕は体重計を持っていないので、健診の結果が来るまでは結構ドキドキでしたよ。

だって見かけ上、そんなに変わっていませんし。

 

んで、結果は。

 

2020年5月  →  2020年11月
 体重_67.3kg    →   体重_60.4kg
 腹囲_91.0cm   →   腹囲_77.0cm

 

おお!! 

体重が6.9kg減!! 腹囲も14cmも減った!

 

んで、肝機能とかは、、、

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2020年11月の健康診断の肝・胆と脂質の検査結果

 

 見事に改善されました!!

やっぱり運動って大事なんだなぁ。

 

 

さてさて。

5月の時は総合判定がD2でしたが、

11月の総合判定は、なんと!!

 

D2

でした!!

 

……。

…………。

…………視力が引っかかりました。

 

人間、体はどんどん壊れていくものですなー!!!
もー、やだー!!

 

 

5.最後に、縄跳びしてみようと思った人へアドバイスを。

 

この記事を見て、成果出るなら縄跳びしよう!と思った奇特な方へ。

僕からのせめてものアドバイスや、縄跳び以外に変えた生活習慣を記載しようかと。

 

運動に限らずですが、続けていくのが重要でして。

そのためには無理をせずに、”やる気が出ない”以外の理由であれば、僕はきっぱりとやりませんでした。

 

例えば、6月なんかは梅雨の時季ですからね。

雨に打たれながら縄跳びしたくなかったので、縄跳びをしない日がそれなりにありました。


また、最初の頃に脚が痛かったのは、これはおそらく体重が重かったためでしょうね。

縄跳びとは”自分の体重を持ち上げては、受け止めて”の連続です。
(少し誇張でしょうが、だいたい合っているでよう)

 

なので、あまりキツイ目標を立てると膝などへの負担が大きくなるので、
痛みが強い時も縄跳びはせずに、柔軟をして次に備えました。

 

そして、縄跳びの成長の実感ですが、
まあ、やっぱり週に3,4日で、1日30分程度では頭打ちは早めに来ます。

 

2重跳びは、最高で62回ですし、
今でも前跳びを100回連続で跳ぶにはちょっと集中する必要があります。

 

ただ、それは

自分は運動不足解消のためで、縄跳びの技術を上げたいわけではない”わけですから、
今日は2重跳びを何回できるだろうかと予想して楽しみながら続けていくのがいいかと。


あと、食生活なんですが、食べる量は大して変わっていないかと思います。

しかし、食べる物、特に間食の内容は大きく変えました。

 

ダイエット前はポテトチップスとかベビースターなんかを食べていましたが、
今は主にSOYJOY、小魚、ミント、ヨーグレットが中心です。

 

ポテトチップスなどに比べるとちょっとお値段が高い感じがしますが、
家計的にはほとんど変化なしです。

 

まあ、SOYJOYなんかは楽天で安くまとめ買いできるので、そちらを下記にご紹介致します。


ではでは~。

 

 

SOYJOYを送料無料で取り扱ってくれている貴重な会社「くにくに」さん。

 

 

紹介:おすすめのライトノベル5選

すっごい久しぶりにブログを書いております。

まあ、特に何があるわけでもなく、なんとなく書く気になれなかっただけなんですがね。

 

ちょっと興味深いというか、もったいないというか。

そんなニュース記事を見たのでブログにしてみようかと。

 

 

何でも、

ラノベの中高生離れ」が起こっているとのこと。

 

ラノベの読者は30代が中心となっているようで、
中学生・高校生にはあまり読まれていないらしいです。

 

「作家が中高生向けの本を書かなくなったのでは?」というのがライターの意見で、
まあ、ぶっちゃけこの辺のマーケティング調査的な話は置いといて。

 

昨今、YouTubeを筆頭に動画コンテンツが大きな市場規模となっているので、
中高生が本を読まなくなっているのは事実なのではないかなぁと思います。

 

 

んで。

個人的にはそれはもったいないなぁと。

 

別に10代でこの本は読むべき!というラノベがあるわけではありませんが、
10代の頃に出会った、知った世界ってやっぱり大きいと思うんですよ。

 

ラノベと一口に言っても大量にあるので、どれを読んだらいいのかと考えるだけで疲れてしまうもの。

 

読書家を自称するわけでもないですし、大してラノベを読んでいませんが、

少なからず、僕がおすすめできるラノベをブログにしようかなと思い、記事にしてみることにしました。

 

ネタバレはしなようように気を付けますが、一応、ネタバレ注意を。

 

ちなみに、順番に意味はありません。ただのあいうえお順で、記載したものはどれもおすすめです。

 

 

おすすめのライトノベル

雨の日のアイリス /ファンタジー

雨の日のアイリス (電撃文庫)

 著者:松山剛 出版社:KADOKAWA

 個人的にこの人の話は嫌いです。

おすすめとか言いながら何言ってんのと思われそうですが、読んでいてとても辛いのです。

文章が読み辛いのではなく、”心にくる”ものがあるんです。

 松山先生の話は他にも2,3冊読んでいますが、どれもキツイ。

 さて、雨の日のアイリスですが、表紙を飾る可愛らしいメイド服の女の子、アイリス。

 実はこの子はロボットなのです。

 遠未来といいますか、地球の話ではないのですが、感情を理解し、心を持ったと言っていいロボットと、そこで一緒に生きる人間たちの、些末な日常の話です。

 どこにでも誰にでもあり得る幸福と理不尽。

 これほどの世界観を持ち合わせながら、これほどにありふれた日常を、人間を描写できる松山先生は本当に素晴らしい作家だと思います。

 そして、読み終わった後にわかるイラスト・ヒラサト先生が描いた表紙がまたなんとも切なくて。

 映画化してほしい小説があるとしたら、間違いなく3本の指に入る作品です。

 

 

 

涼宮ハルヒの憂鬱 /日常&SF

涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)

著者:谷川流 出版社:KADOKAWA

 言わずとしれたラノベの名作ですね。

 アニメ化も2回されていますし、新刊が出るとニュースにもなり、知っている方も多いでしょう。

 完全に個人的な趣味というか嗜好なんですが、アニメよりも小説の方が”ハルヒ”という作品にハマれると思います。

 というのも、この作品は非常に読みやすいので、キャラクターの心情や世界観がすんなりと入ってきます。これは一人称視点の文章というのが大きいのでしょうね。

 天真爛漫、破天荒な女子高生・涼宮ハルヒに振り回される主人公・キョン。そして、宇宙人、未来人、超能力者までもが出てきて”何も起こらせない”ために奮闘する。

 日常世界の非日常。

 ジャンルはSFなんですが、専門用語が殆どないのでとても取っ付きやすい。

 最新刊の「涼宮ハルヒの直観」を含め、2020年現在において計12冊出ておりますが、「涼宮ハルヒの憂鬱」だけでも十分に面白いので、是非ご一読を。

 ちなみに、作品順は「憂鬱」→「溜息」→「退屈」→「消失」→「暴走」→「動揺」→「陰謀」→「憤慨」→「分裂」→「驚愕(前)」→「驚愕(後)」→「直観」となります。

 

 

電波的な彼女 /サスペンス

電波的な彼女 (集英社スーパーダッシュ文庫)

著者:片山憲太郎 出版社:集英社

 サイコサスペンス。この言葉がよく似合う作品というのもなかなかないでしょう。

 現実世界の事件の裏にある救いのない話です。

 物語の開幕は、主人公・柔沢ジュウにヒロイン・堕花雨が忠誠を誓い、ジュウのスニーカーに這いつくばってキスをするという奇行から始まります。

 堕花雨に関わったが故に、というわけではないのですが、堕花雨と関われたことで、ジュウは殺された友人の事件を解決しようとしていくわけです。

 ただ、そこにあるのはひたすらに不快な世界。

 こんなつまらない理由で人は殺されるのか。

 そして、人はこんな風におかしくなっていくのか。

 この話は好きな人は大好きでしょうが、嫌いという人のほうが多いでしょう。

 でも、是非読んでもらいたい。

 2020年時点で3作あり、「電波的な彼女」→「電波的な彼女_愚か者の選択」→「電波的な彼女_幸福ゲーム」の順となります。

 ”愚か者の選択”は結構なトラウマになるやもしれませんので、ご注意を。

 

 

 

生ポアニキ /コメディ、時々恋愛

生ポアニキ (オーバーラップ文庫)

著者:アサウラ 出版社:オーバーラップ

 コメディです。やったね!

 自分に自身がない陰キャの主人公ユースケのもとに突如として送られてきた筋骨隆々のマッチョなアニキとともに筋トレに励み、ヒロイン・ユリにちゃんとした恋をしていく話です。

 頭おかしくなった?と言われそうですが、マジです。いや、我ながらそれなりにちゃんとしたまとめになっていると思いますよ?

 まあ、コメディではあるのですが、ただのコメディではありません。

 アニキの適切な指導によりユースケが頑張り、変わっていく姿には手放しで応援したくなります。

 そして、ユースケがユリの過去を受け止められるくらいに強くなっていくのは純粋にかっこいい。

 ちなみに、同作者の「ベン・トー」もおすすめです。どっちを推そうか悩んだんですが、僕としてはこっちかなと。(ベン・トーはアニメにもなっているんですけどね)

 コメディだから頭空っぽにして読めるよと言いたいところですが、そうはいかないのがアサウラ先生の持ち味。

 王道で熱い話が読みたい!という方は一読の価値が大いにありです。

 2020年時点で2作あり、「生ポアニキ」→「生ポアニキ パンプアップ」の順となります。

 

 

ミミズクと夜の王 /ファンタジー

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

著者:紅玉いづき 出版社:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

 この物語を読んで、僕は泣きました。この本の解説者の有川浩先生も初っ端にそう記載していますね。

 あらすじの通り、死を願う少女が夜の王に自分を捧げようとするところから始まります。

 世界観はファンタジーといいますか、童話や寓話的なところがあります。

 魔法が存在しますが「ファイヤーボール」だとか、その手のものではなく、もっとエグいものです。

 物語が森から城へ、つまり化け物たちの世界から人間の世界へと移るわけですが、そこで読み手である僕たちはやっぱり「嫌な想像」を巡らせてしまうんですよね。

 でも、それは優しく裏切られます。

 そう、この本は本当に優しさで溢れているような本なのです。

 電撃文庫大賞を受賞されているだけあり、読みやすくて没入感の高い物語だと思います。

 癖はなく、王道な物語だと思いますので、誰にでも受け入れられる本でしょう。

 

 

 

最後に、この5書を選んだ理由を

数あるラノベの中で、この5作品を選んだ理由ですが、

 

それは読後感です。

 

この5作は僕が読み切った時に、純粋に「面白かった」と思えるものでした。 

頭がすぅーっとし、クリアになっていく感じ。今風に”整う”とでもいいましょうか。

 

いわゆる、

カタルシスを味わうとこの読後感が自然と押し寄せてきました。

 

僕はそれを紹介した5作で味わうことができました。

 

もともとライトノベルとは中高生に向けた小説です。

ジュブナイルノベルなんて呼ばれてもいましたね。

 

昨今、アニメ映えしやすい作品が求められがちですが、

アニメだからこその面白さもあれば、小説だからこその面白さもあります。

 

当然、小説の面白さをアニメで表現し切るのは困難ですし、逆もまた然り。

 

紹介したラノベはアニメ化されたものもありますが、

アニメよりもラノベだからこそ面白い作品だと思いますので、

是非一冊でもいいので読んでみて下さい。

 

 

ではでは~。

感想:17歳のモンスター(田中宏昌

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1.感想

 少し前に『鳥葬』を読みましたが、それといい今回の小説といい、買ってから読み切るまで随分と時間を掛けてしまったなぁ。

 

 『17歳のモンスター』、本当になんで買ったのか思い出せないのですが、これも多分、鳥葬の時と同じく、サイコホラーな小説にハマっていた頃だったと思います。

 私が読みたかった物語とは違いますが、これはこれで何とも興味深くて、人間の脆さというか、危うさというものをよく噛みしめる事のできる話でした。

 

 殺人などの、生命の危機を伴った明確な危険はないのですが、それゆえに厄介な立件の難しい犯罪、ストーカー。

 

 この話は人がストーカーになっていく過程を、心理を、不快にならないくらいのテイストではありますが、生々しく想像させていくものでした。

 

 高学歴で、成功体験ばかりを積み上げてきたエリートが恋愛や一目惚れをすると、ストーカーになりやすいというのはよくある話ですが、この話は違います。

 誰もがストーカーに陥る心理の落とし穴があるんだ、そんな警告を受けた気分となりました。

 

 特に片桐がストーカーになっていく描写は他人事とは思えず、自分の恋愛観を省みるいい機会でしたよ。

 

ゲーム感覚

 

 男は特に気をつけなければならない感覚でしょう。

 よく”男はいつまで経っても子供”とか”バカのまま”なんて言われますが、その最たる理由がこのゲーム感覚の心地よさ、楽しさを男は骨の髄まで刻み込まれているからだと思います。

 

 ゲームに陥ると男は熱中してしまい、本当に周囲が見えなくなるものなんです。

 ですが、女性にも似た感覚が存在すると思います。
 

 それは”情報収集の快感”です。

 女性は情報を収集することや共有するとに快感を得る生き物と言われています。
 ショッピングなどは性差が特に顕著に表れますね。

 

 男は買うものを予め決めておき、より短時間に終わらせることに喜びを感じますが、女性は様々な情報を得ることが快感であり、買い物もその場その場で考えていくため時間が長くなると言われています。

 

 片桐と真子のストーカーのやり方にもこれと似たような差が生まれているのが実に面白い。

 

 先述しましたが、片桐はゲーム感覚で真子に付きまとっていました。

 そのため、彼は真子に定期的な連絡ができないことに焦りや怒りを覚え、真子からのメールが来れば目的を達成できたと喜びます。

 

 対し、真子のストーカーは片桐のことをよく知ろうとしていきます。
 最初は片桐を困らせることだったはずが、段々と彼の家のゴミを調べ始め、写真を撮っていき、彼を知ることに喜びを見出します。

 

 まあ、男のストーカーも相手の情報を得ることに喜びますけどね。

 

 なんにしても”喜ぶ”、”快感”がストーカーの心理の根源なのだと物語を通して訴えていると感じました。

 

 それゆえに真子をストーカーから戻したのが佐知という、気心の知れた見ているだけで楽しい友人の存在でした。

 

 ありきたりではありますが、人間関係の不思議さをよく描いた小説だと思います。

 強く、個性的なキャラクターがいるわけではありませんが、それゆえに凡人である我々の世界の落とし穴。

 

 その落とし穴に苦しみ、あるいは落ちたことに気付かずに相手を苦しめる。

 でも、穴から出してくれるものまた築いてきた人間でなんです。

 


2.あらすじ


 ファミレスでアルバイトをしている女子高生の真子は悩んでいた。
彼女は同じ職場のアルバイトマネージャーの五明と肉体関係を持った。

 

 女子校育ちの真子としては、大学生でイケメンの五明という存在はとても眩しく見え、言い寄られて身体を許したのだが、そこから先の五明の真子に対する態度は一変して冷淡なものとなった。

 

 遊ばれた。

 

 ショックだった。
 五明のことは信じていたし、初めて恋をした相手だ。

 

 同じアルバイト仲間である佐知に相談したが、自分を馬鹿と言って憚らない彼女は悪い子ではないのだが、相談に対してあまりにも他人事だった。
 
 自由奔放で、こんなつまらないことで悩まない佐知が羨ましい。

 

 アルバイトを通して得た気の合う友人だが、五明のことを考えると今のまま仕事を続けられるとは思えない。

 

 そのことを五明と同じアルバイトマネージャーで大学生の百恵に相談すると、五明が他の女性アルバイトにも同様のことをしていると知った。

 

 心理学を専攻している百恵は配慮に優れ、人間関係の悩みに対してとても真摯に向き合ってくれる、理知に富んだ姉御肌の人物だ。

 

 そんな百恵の後押しもあり、今後の職場のためにもと五明の女癖の悪さを店長の片桐にも相談した。

 

 片桐は真子の仕事ぶりをよく見てくれている、頼りなくも信じられる店長だ。

 

 しかし、片桐は片桐で多くの悩みを抱えていた。

 

 五明は仕事がよく出来るので簡単に解雇にはできない。

 百恵からはアルバイトたちのことを突き上げるように諌められ、調理担当のチーフは無駄に職人肌で何人ものアルバイトたちが辞めていく。

 

 それだけじゃない。当然、本社から課されるノルマや仕事もあるのだ。

 さらに、片桐はいわゆる逆玉であり、家や車などを妻の両親から買え与えられている。

 

 彼の家庭内での立ち位置は低く、鬱憤の溜まる毎日だった。

 

 片桐は五明に真子のことを忠告すると、五明は相変わらずのいい加減な態度だが”真子にはもう興味がない”と言う。
 

 五明にとって”女とはヤルまでのゲーム”なのだ。もう”クリア”した真子は終わったゲームなので興味が失せている。

 

 ふざけたやつ。

 

 五明のことをそう認識ながらも、片桐は五明のことが羨ましかった。

 まだ20歳そこそこで失うものが何もないからこそできる彼の言動。もう30歳にもなり、子供もいる自分には到底できない振る舞いだ。

 

 だが、片桐もかつては五明のように振る舞っていた時期が確かにあった。妻の妊娠がなければ、まだ結婚なんてするつもりはなかったのだ。

 

 そんな片桐の不満を見抜いているかのように五明は笑い、言う。

 

 「店長もまだまだ現役なんだから楽しみましょう」

 

 五明の一件で真子から信頼をされた片桐。彼の胸中にも、”ゲーム”の熾火が燻り始めた。

 

 エスカレートしていく片桐のアプローチに真子は憔悴していき、再び百恵に相談すると、思いもしない”対処法”を授けられるが、それが真子を”17歳のモンスター”へと変えていきーーー。

 


3.21時入眠的に何とも言えない気持ちになった台詞

 

アタシもこれからどんどん真子に相談とかするから、真子もひとりで突っ走るのはやめて、相談してよ

 

 ”病気”となった真子が佐知と共に事故に遭い、入院を余儀なくされた真子に佐知が言った台詞です。

 

 元々、真子は自信のない大人しい性格をしていて、何かあれば佐知なり百恵なりに相談する人間でした。
それが片桐への対抗策として自分ひとりの力で色々と解決できると気付き、考え方が過剰になっていき、固執していきます。

 

 いつの間にか誰かに相談しなくなっていきました。

 いや、佐知にはあまり相談していませんでしたねw

 

 佐知は県内でも一番の低偏差値の高校に通っていることもあり、馬鹿であることを自称しています。

バイト終わり後にナンパされに行くとか、好みの客に明らかにサービスをし過ぎて引かれたりと、普段の素行も恋愛も非常に奔放に生きている女子高生です。

 

 ただ、佐知は行動に起こす前に真子への相談をしていました。その相談に意味があったかはともかく、彼女いわく”馬鹿は馬鹿なりに考えている”と。

 

 病気となっていった真子は自分の正当性を疑わないどころか、自分の考えを否定する人を”物分りの悪い人間”と判断していき、いつしか周囲へ話すことを辞めていきました。
 
 自信がなく引っ込み思案だった真子が自分の力で色々な問題を解決できたことで、”自分の考えは正しいんだ”と思い込んでいったわけですね。

 

 また、真子は奔放な佐知に憧れていました。

 

 真子と違って佐知は自分ひとりで世界を開拓できる。それは自分にない能力だと真子は思い込んでいたわけですが、実は簡単にできるものなんだと知ってしまい、歯止めがかからなくなってしまった。

 

 人間、自分ひとりで歯止めをかけるのは非常に難しいものです。

 また、歯止めをかけられる人間というのも、実はとても難しい。

 

 親や先輩、上司といった目上の人間ではなく、友達という対等な関係だからこそ歯止めの言葉がよく刺さります。

 

 目上の人の言葉は一方的な正しさを感じるものですが、友達は違います。
 対等な関係だからこそ、行動を怒られた時に本当の意味で省みられるんでしょう。

 

 昨今、COVID-19によるソーシャルディスタンス関係なく、人間関係が希薄な現代人ですが、ある意味ではストーカー予備軍になりかねないわけですね。

 

 案ずるより産むが易し。

 

 やってみたら思っていたよりも簡単どころか、生涯の友を得られるかも知れません。

 大人しい性格の真子がアルバイトに挑戦し、職場で佐知に出会えたように。

 

 社会情勢が元に戻ったら、私もやりたかったことをひとつずつ潰していこうかなぁ。

 

 こんなところで締めとします。

 ではでは~。

 

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