感想:異世界おじさんⅠ(殆ど死んでいる)
※ネタバレあるかも知れませんのでご注意を
最近ゲラゲラと笑えるおもしろい漫画を読んでいないなぁ思い、気になっていたこの異世界おじさんを読んでみました。
おもしろかったです。はい。
何も考えずにおもしろいとはまた違うのですが、展開にじわじわと来たり、絵に来るものがあるといいますか。
まあ、前書きもそこそこにして。
異世界から現代日本へ帰ってきたおじさんが語る、異世界冒険譚?
残念な冒険、シュールコメディ漫画です。
異世界おじさんⅠ
表紙を飾るツンデレさんがなんとお可愛いことか。
全体的に暗めな色合いの服装なのですが、髪の色が明るく、赤い靴がいい感じにアクセントとなっていて落ち着いた大人のコーディネートという印象になりますね。
ただ、ツンデレさんが美人顔であっても幼さが残っているので、ちょっと背伸びしている感がありますが、それがまた何ともいい。
1 あらすじ
1-1 3行あらすじ
異世界から帰ってきたSE●A好きおじさん
現代日本では魔法使ったYouTuberで
異世界では狩られたりイチャコラしたり
1-2 ざつあら(雑なあらすじ)
たかふみは昏睡状態だった叔父が目覚めたということで面倒を見に病院へ行きます。
叔父は17歳の時にトラックに轢かれて以来、17年間眠り続けていました。
しかし、おじさんはただ眠っていたわけではなく、その魂は異世界グランバハマルへと転移し、オークと誤解されて狩られたり、宗教的なダブーに触れて吊るされたり、RPGみたいな冒険を繰り広げ損ねたり、ツンデレなエルフさんを結婚詐欺に遭わせたりと、波乱万丈なひどい冒険をしてきたのです。
2 個人的ハイライト
2ー1 おじさん
随分と真剣な顔をしているけど、このおじさんのことだからどうせSE●Aだろうなぁと思っていたら、やっぱりSE●Aで、しかもか予想以上にどうでもいいものが原動力だったと笑わされました。
SE●Aを愛してやまないこのおじさん。
どれほど愛しているのかといえば、異世界から現代日本へ帰ってきて早々に尋ねることがゲームハード戦争におけるSE●Aの戦果を訊くほどです。
それだけではなく、過酷な異世界で生き延びられたモチベーションがセ●サターンソフト読者レース最終結果を知ることとも言っちゃう始末。おじさんが大好きなソフトが197位だったわけですが、その時、ただキレるのではなく甥っ子の前だからか一度強がりを挟むんですよね。
子供と違って大人がキレる時は、嵐の前の静けさと言いますか、一度冷静になる辺りが非常にリアルで笑えます。
SE●Aに生き、SE●Aから学んできたこのおじさんが17年もの間、異世界に飛んでいたのはゲームハード戦争をリアルタイムで見たら自殺しかねないからではなかろうか。
他作品を出すのは恐縮ですが、『ベン●トー』の主人公(並びのその家族と更には原作者)といい、SE●Aヘビーユーザーというのは頭の線が切れすぎでは?
そんな廃ゲーマーなおじさんですが、意外や意外にしっかりしているところもあるんです。
生命の危機から助けられたらしっかりとその借りを返しますし(←それで全てをぶち壊しにもしますが)、メイベルちゃんからの人生相談にも誠実に応え途中までは良いことを言います。
”人は自分のやりたい通りに生きていいんだ それを貫く力が強さだと 俺は思う……!”
こんな素敵な台詞も周囲に流されずにSE●Aをやり続けたからこそ出てきたんです。もっと別のところから学べといいたくなりますが、どこから学ぶのは人それぞれですからね。
これこそがおじさんの魅力なんです。
自らの意志を持って人生を切り拓くというのは、簡単なように見えて恐ろしく困難です。それでもおじさんはそれを子供の頃からやってこれるのは、やはり一つの才覚と認めざるを得ません。
反面、それは周囲の反対や意見を押し通すわけですから、おじさんが人間不信になったのもSE●Aが原因の可能性がありますね。なんて罪深いゲームメーカーなんだ。
異世界ではオークと誤解されてまくり、基本的にソロプレイで冒険仲間を作らず、というか作れずにいましたが、ツンデレさんが側にいたりしてくれたお陰で陰鬱なエピソードだけじゃなかったんだとホッとしたり、むしろツンデレさんみたいな美少女に慕ってもらえるとか嫉妬で狂いそうになります。
他人の目なんて気にしないどころか、常識も人生経験も相当危ないこのおじさんが異世界でどんなことを繰り広げてきたのか、今後も注目です。
2ー2 たかふみ
期待通りの肩透かしを食らった直後にめっちゃ気になることを言われて、私もたかふみ同様に思わず叫んじゃいましたよ。
おじさんの姉の子供、甥のたかふみ。
彼はなかなかにゲスいです。
17年間昏睡状態だった叔父の面倒なんて見たくないのは理解できますが、おじさんが魔法を使えると知るや否や、簡単に掌を返してYouTuberとして生きていこうと心に決めるとかなかなかな処世術の英才教育を受けてきたことが伺えます。
しかしながら、たかふみは一家離散の憂き目に遭っていたりと、おじさんほどではないにしろ(というかおじさん基準の不幸はヤバい)彼も結構な思い過去を背負っています。
一家離散の事件も気になりますが、個人的にはルームシェアをしていた相手というのが気になりますね。
おじさんが目覚めた時点でたかふみはバイトで生活をしていたようで、家庭状況から考えても大学へ行っていないのでしょう。通学している様子もありませんし。
類友といいますし、ルームシェアをしていた相手というのもたかふみ同様に思い過去を背負った人だと思いますが、同居人と折り合いがつかないとは、一体何があったのか?
色々と嫌なことがあったたかふみですが、一番読者の目線になっておじさんの冒険に期待を寄せたり、ツッコミを入れてくれたりします。
それはもう、異世界ってどんなところでどんな冒険があったのかから、おじさんがツンデレさんへ対する扱いの酷さまで。
基本的には狂言回しに近い立ち位置のたかふみですが、彼も彼で過去や藤宮さんとの今後が気になる人物です。
2ー3 ツンデレさん
ニヤニヤなロマンチックな展開から怒涛の勢いで台無しにされて理解が追いつけないツンデレさんが本当に愛おしいです。
今回の表紙を飾っているのエルフがツンデレさんになります。
おじさんと同じく冒険者を生業としているようです。
恐らくは作中でも随一の貧乏くじを引く人、それがツンデレさんです。
おじさんが吊るされてもその身を挺して庇ったり、瀕死状態のおじさんを介抱してあげたり、それなのに結婚詐欺の被害に遭わされたり。
よくもまあ、このおじさんに付いていけるものだと感心しかありません。
逆にいえば、ツンデレさんはそんなひどい扱いを受け続けても、おじさんを慕えるほどの何かがあったわけでして。
今後はおじさんとツンデレさんの過去に何があったのか、非常に興味深い。
2ー4 藤宮さん
この何とも言えないリアルさを描いて人間関係を表すのが本当に上手だなぁとしみじみ思いました。
たかふみの幼馴染、藤宮さん。
たかふみとは小学生からの友達で、たかふみ宅に勝手に上がっていいと許可されるくらい、たかふみからは信頼を置かれています。
藤宮さんはツンデレとはまた違って、中学生くらいの不器用な恋愛をしているのが何とも素敵です。
おじさんが邪魔で切ろうとしたりと、結構なエグさを持ち合わせているのもまた面白い。
おじさんとツンデレさんの話は過去のものですが、たかふみと藤宮さんの話は過去もあり未来もあります。
今後、二人がどういう風に変化していくのか楽しみです。
2-5 21時入眠的に愛してやまないコマ
いやもう、本当に無言の3連コマの内のこの1コマが大好きなんですよ!
他にもいい絵がたくさんあっただろう、なんだってここなんだとファンの人からは怒られそうなチョイスですが、異世界におけるおじさんの扱いのこれでもか!と表しているやるせないシーン!
泣きながらもオーク(おじさん)から守ろうとする長男(?)と、その後ろで次男を諭しているお姉さん。
モンスターに襲われ”もうダメだ”と思ったところを助けられた、かと思ったらそれ以上の化け物が現れて死を覚悟するのが一気に伝わってきてしまって。
泣き顔がリアルすぎてビビるわ。
3 おまけをちらっと紹介
経緯は不明ですが、おじさんはツンデレさんにパーカーを貸していたいみたいです。
それを返すように求めると、ツンデレさんは”一生返すもんですか”とお可愛いこと言って抵抗します。
で、おじさんは実力行使に出るわけですね。
……。
これは決してやましいことなんてありません。
パーカーを返してもらうだけです。
貸したものを返してもらうのは当然の権利です。
ましてや中世的な世界観であれば服は貴重なんです。
だからおじさん!
早く剝いてしまえ!!!
4 ちょこっと考察と総括を
おじさんとツンデレさんの馴れ初めなども気になりますが、やはりツンデレさん自身の過去が一番気になります。
特に気になったのが、ツンデレさんが指輪を嵌められる時に逡巡するわけですが、その表情の中でおじさんのことを強い敵意を持って睨みつけるようなコマがあります。
これはいったいなぜか?
まだ1巻だけであり、ツンデレさんとおじさんの仲というのも断片的にしか描かれていません。
ですが、それでもツンデレさんは打算的な性格をしているとは思えず、おじさんのことも強く慕っていると思います。
戸惑うのは解りますが、なぜ睨むのか?
実はツンデレさんはバツイチとか?
それにしてはあまりに異性に対して不慣れな印象です。
この時、ツンデレさんはおじさんの人間性がまだわからないから答えを決めあぐねている、と見るべきか?
それなら普通に断ればいいだけです。
となると、ツンデレさんは男性不信となった過去があるのかもしれませんね。
もしくはツンデレさんが強いとはいえ、おじさんのように1人で冒険者をやっているのは仲間から裏切られた過去があるのかもしれません。
仮にツンデレさんにそのような過去があったとして、それがトラウマとなっているのだとしても、おじさんはいつの間にかツンデレさんのトラウマを払拭させていたことになります。
おじさんとツンデレさんの話はすべて過去です。
ツンデレさんがどれほど思いを募らせても、おじさんとの結末は辛いものになります。
おじさんはツンデレさんのことを適当な街で撒いたと言っていましたが、果たしてそれは本当に撒いたのか。
無論、おじさんがツンデレさんの想いに気づいていたけど逃げ出したという展開はないでしょうが、ではいったいなぜツンデレさんはおじさんの前から姿を消したのでしょう。
おじさんから既に結構な目に遭わされているツンデレさんが、そんな簡単におじさんのことを諦めるとは思えませんし。
言えることは、おじさんの異世界の結末は決して明るいものではない、ということでしょう。
2巻が楽しみです。
ではでは~。
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